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祁答院町黒木817-4で整体してます。

【垂直の友人】

鹿児島の友人を介して東京にいる古い友人から連絡がありました。

二人とも25年ほど前にスノーボードどっぷりだった頃の尊敬する友人達です。今回来鹿した友人は、15年前にボクがよくわからないグループ展に「スピーカー作家」として参加した時に東京で会って以来です。「今、鹿児島に来てるんだけど。」元気そうな声です。残念ながら会うことは出来ませんでしたが、久しぶりにあの頃と変らない声が聴けて心が踊りました。

スノーボードに関して、当時の彼は経験もあり、技術的にも高かったのですが、斜面に飛び込むベクトルが凄かったことを忘れません。カラダ全体を斜面に合わせていく。何処の山だったか忘れてしまいましたが、一緒に行った皆で、揃って次の斜面に入るという機会がありました。急な斜面に一人ずつ入っていく。そこは入り口がほぼ垂直に落ちて、徐々に角度がでる斜面でした。人によっては角度の出るところまで板をずらし、斜めに切って角度のついた辺りから正面を向いて降りてました。基本は斜めに切っていく入り方です。ところが今回来た友人は「よっしゃ、行くか。」と声を出すと、肘を前に出し滑る姿勢にカラダを決め、斜面にドロップしながら、いきなり自分の体を壁の角度=垂直に向けてまっすぐ降りていったのです。ちょっと想像しにくいかもしれません。ボク自身何が起きたのかよく分かりませんでしたが、印象としては普通に立っていた人が次の瞬間、板とカラダが90度前方に回転して、顔が下に向いている。「いきなり下向き」です。そして見事に滑りきりました。そんなことができるのかとひたすら驚いた記憶があります。身体操作にはそれぞれの人の性格や癖が出ます。彼自身がそういう性格なのでしょう。実際、傍から見ていると彼はずっとそうやって生きているように見えます。腕のいいデザイナーさんですが、もう60を越したそうです。自分の好きなことに前向き、なだけじゃなくてカラダごと状況に合わせて飛び込んで滑り切る。その勇気と身体能力を今でも尊敬しています。そして、そんな友人がいたことを心の底から嬉しいと思える電話でした。

妻に友達いないの?と訊かれることがあります。あまり連絡も取らないからです。ですが彼が思い出させてくれました。ボクには沢山の友人がいます。そしてそれぞれの友達がボクにたくさんの素敵な想いをくれたことを想い出します。友達でいてくれた皆ありがとう。(まだ死にませんよ。)

今回東京から来てくれた友達は来年も仕事でやってくるそうです。会えるのが楽しみです。昔と同じでボクは壁を真っ直ぐに降りられないかもしれません。でも彼は飛び込んでいくでしょう。そこでボクはまた「すげえ」と想うはずです。下から彼の声が聞こえます。

「面白いよ。山ちゃん(=私)、行こう!」