ヒトはモノ自体を認識することができません。私たちが感覚できるのは様々な「差」です。身体調整をしてれば、確かに相手の身体があると感じていますが、実際は密度の低い部分と密度の高い部分の違いを認識しているに過ぎません。わかりやすく言えば、空間とそこにある身体という物体です。それが生きているかどうかの判断もまた、生きていないもの、もしくは生きる速度の大きく違うものとの状態の違いに依っています。僕たちの感覚も全てこのへだたりを検出し、処理しているだけです。これは、程度の差だけでなく、物事と物事の間の性質・状態についてもいえることです。そして、ちょっとばかり複雑な概念や思想も同じです。ただし、感覚も認識もそうですが、トレーニングすることで検出できる値を小さくすることができます。今までわからなかった差もわかるようになる可能性があるということです。私たちは感覚以外のもので世界を認識できません。つまりヒトの世界は「差」で出来ている。そしてその世界の構造や肌理は、ヒトそれぞれの検出能力に依存しています。当たり前のことですが、大切なことです。
