十年ほど前に英語を習いました。「200時間でバカでも喋れる」とうたう現実的な手法で、立ちっぱなし喋りっぱなしの４時間を２ヶ月半ほど過ごし、海外の方と電話でなんとか話せるようになりました。面白いのは、相手の質問に対して、相手の言葉をそのまま利用して答える方法で、話す材料は、常に目の前にあるというところです。ある意味、「バカでも」ではなく「バカになる」事が、大切なコミュニケーションの基本なのだと気づきました。頭でいろいろ考えずに相手に向かい、相手の言葉や存在をを受け止め、返す。これは体と情報交換するバランス活性でも同じです。施術者は何も考えずに相手の身体から必要なことを聞き出し、単純に返して行くのです。材料は本の中ではなく、目の前にあります。英語も整体も会話も誰でもできるのですが、どれも自分を押し付けることではありません。自分の枠や固定観念を外して、バカになってポカーンと相手に向かい、相手の言葉を尊重してやりとりすることが、他者との関わりおいてまず大切なことなのです。
