著者の意図が、その本に忠実に反映されているとしたら、その文の中の一言一言、挿絵や写真の一枚一枚が、たくさんの情報を含んでいるはずです。以前から、故伊藤昇先生の「胴体力」と呼ばれる身体トレーニング法が、調整法としても素晴らしいと考え、自己流で体感し実践して来ました。自己調整法の教室の中で、これを紹介しようと考え、伊藤先生のオリジナルの本をじっくり読み直してみました。すると、これまでやって来たことにカンチガイや足りない部分があることに気がつきました。先生が生前、ご自身で作られた本をよく見てみると、その写真の中にたくさんのポイントが隠れています。そして、そのポイントを押さえながら、解説文を丁寧に一言一言カラダに反映させていくと、これまでの理解以上に、とても美しく有効な体操であることがわかってきました。伊藤先生は一瞬でこの写真を選ばれたのかもしれませんし、言葉も限られた字数の中で自然に湧き出て来たものなのかもしれませんが、その中には、初めての人でも実現すべき身体状況がわかりやすい、そして熟練した人には一瞬で納得できる、写真や言葉が選ばれています。まだまだこれからトレーニングをくり返していく中で、このわずかな文章や写真の中から、たくさんのことを学び取っていける可能性があります。もちろん、亡くなられた先生や、先生の思想をきちんと継いでおられる方から教えていただけるのが一番です。しかし、それが適わない現在のこの鹿児島の地で、先生の書かれた本を頼りに自分の能力を高めていくことができる可能性に気付けたことは大きな歓びです。
